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ドローンを用いた
原爆ドーム健全度調査

DRONE SOUNDNESS SURVEY FOR THE A-BOMB DOME

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原爆ドーム健全度調査の概要

原爆ドーム健全度調査の概要

被爆地広島にある平和の象徴「原爆ドーム」は、第2次世界大戦で人類史上初めて使用された核兵器による被ばく建物で、平成8年にユネスコの世界遺産に登録されました。
昭和42年に第1回保存工事が行われて以降、現在(令和6年)に至るまで計5回の保存工事が実施されています。また、平成4年から原則3年ごとに外壁のレンガやモルタルなどの劣化状況を調べる「健全度調査」が実施されています。
当社では従来の健全度調査における課題を解決すべく、ドローンなどの新技術を駆使して調査業務に取り組んでいます。

従来の健全度調査における課題

従来の健全度調査における課題

これまでの健全度調査では、原爆ドームの全面に足場を設置し、それをシートで覆って近接目視点検を行っていました。
そのため、調査を行っている数カ月間は原爆ドームの姿を見ることができず、はるばる遠方から訪れた多くの観光客からは落胆の声があがっていました。
また、足場資材の搬出入や設置そのものが、世界遺産として長期的な保存が厳命される原爆ドームとその地盤に対し、大きな負担となっていました。

ドローンや3D計測による
課題解決

「ドローン」を使用した
外面・内面調査

ドローンや3D計測による課題解決

発注者である広島市は、従来の足場を利用した近接目視点検に代わり、令和6年度からドローンを用いた健全度調査を実施するようになりました。
調査業務を担当する当社は、原爆ドームの外面の調査に大型ドローン(DJI Matrice 300 RTK)を、内面の調査に衝突防止機能を有した小型ドローン(Skydio 2+)を用いて写真を撮影。それにより0.2mm以上のひび割れを確認するなど、従来の近接目視点検と同等の精度で健全度調査をとりまとめています。
ドローンは、従来の近接目視点検と並行していた打音による診断には対応していません。しかし、足場の設置が不要になったことで、観光客への影響や建物本体への負担を最小限に留めるという大きな課題を解決しながら調査を実現しています。

「3Dレーザ計測」での
全体的な変位観測

原爆ドームの健全度調査では、建造物の沈下や残存する壁の傾斜などに対して、経年的に定点観測を行ってきました。ただし、これらは代表的な観測点での計測結果であり、複雑な形状かつ不安定な状態で残存する原爆ドーム全体を評価するにあたっては適切な手法とはいえませんでした。
令和6年度からは原爆ドーム全体にレーザを照射して3D点群データを取得し、前回取得値との比較を実施。これにより、局部的な変位ではなく、全体的な変位を把握することが可能になりました。

まとめ

原爆ドームのような歴史的建造物のみならず、わたしたちの生活を支えている社会インフラを今後も長期的かつ安全に使用していくためには、適切なメンテナンスが欠かせません。
こうした背景から、健全度調査やメンテナンスの手法に効率化が求められています。当社では今後もドローンを用いた画像解析や3D点群データでの差分評価のように、新しい技術を採用した調査及びメンテナンス業務にチャレンジしていきます。